東大卒無職が9か月で公認会計士試験を突破した記録

仕事を辞めて受験専念をした東大卒が6か月で公認会計士短答式、その後3か月で論文式に挑んだ記録です。

理系が公認会計士試験を約9か月の短期合格した体験談【学習戦略や予備校選びなど】

この記事は文系科目の勉強を全くしたことのなかった私が公認会計士試験を約9か月で合格した際の体験談をまとめています。

 

理系で会計士試験に挑戦しようか迷われている方は参考にしていただけると思います。

おまけとして、まだ学習を始められていない方向けに予備校についても少し書いています。

 

私の経歴や前提条件

私は令和4年度の公認会計士試験に約9か月の勉強時間で合格することができました。無職・受験専念という環境だったため合計約2000~2500時間程度は勉強したのでそこまで短時間というわけではありませんが、短答式・論文式ともに一発で合格することができています。論文式は合格者約1450人中168位という好成績でした。

 

私はもともと理系で、センター試験、大学入試ともに数学や物理、化学といった理系科目で大幅なアドバンテージを取り、社会や国語といった文系科目はほぼ勉強しないという非常に偏った勉強をしていました。

ですので、理系科目には自信はあったのですが、暗記をはじめとした文系科目の勉強はほとんどしたことがありませんでした。

 

この記事でお伝えしたいこと

会計士試験では理系の強みが生きる科目があり、強みを存分に発揮すれば相当なアドバンテージを得ることができることが私の考えです。

 

会計士試験は複数の科目があり、数式に多く触れている人のほうが点数を取りやすい計算科目があります。ここでいう理系とは高校・大学受験で数学が得意というくらいのレベルを想定していただければ十分です。

 

一般に士業の資格は文系科目というイメージが強く、暗記に長けた文系のバックグラウンドを持つ人のほうが有利という印象があると思います。私自身もそう思っていたのですが、自分自身が会計士試験を受験してみて理系だからこそできることもあると気づきました。

 

なので、理系であっても臆さずに会計士試験に挑むことができると思っています。

 

会計士試験の試験の仕組み

まず、会計士試験の科目などの仕組みについて簡単にご説明します。会計士試験には短答式(マーク式)と論文式(記述式)の2つの試験があり、短答式に合格した人が論文式の試験に進みます。

 

短答式は財務会計論、管理会計論、企業法、監査論の4科目です。論文式ではそこに租税法と選択科目(統計学や経営学等)が加わり6科目の試験になります。選択科目は経営学を選ぶのが大多数です。

このうち財務会計論、管理会計論、租税法、選択科目は計算問題があり、計算問題の比重が理論問題(計算ではない問題)よりも大きくなっています。

 

また短答式は財務会計論200点、その他の科目が100点ずつ、合計500点のうち約70%が合格の目安です。論文式は財務会計論200点、その他100点ずつなのですが、各科目の各大問の偏差値を配点で加重平均し、総合偏差値とします。その偏差値が52を超えていることが合格の目安です。(詳しく知りたい方は調べてみてください)

 

かなりざっくりですが、この記事を読むうえで知っておいてほしい試験に関する情報はこのくらいです。

 

ここからが理系が会計士試験を受けてみた感想として私が気づいたことです。強みを3つ、注意点を2つ紹介します。

 

強み①計算科目で大きく稼ぐ

まず、理系の素養がある人は計算問題で稼ぐことができるのでここが理系ならではのアドバンテージになります。会計士試験は計算科目の配点が大きいため合格の要だとよく言われるので、計算が得意ならば非常に有利に事が運びます。

 

特に理系の素養がある人は管理会計論と経営学は勉強時間も短く済み、かつ大きく稼ぐことができます。財務会計論と租税法は決まった計算方法を覚えるという側面が強いのですが、文章を覚えたりするよりは公式を覚える方が楽という人も多いのではないかと思うので苦しむことはそんなにないのではないかと思います。

 

実際に私の論文式本試験の成績では管理会計と経営学は偏差値70を超える大問があり、その他の計算科目も偏差値60を超えています。

 

強み②論文式選択科目は統計学か経営学

論文式の選択科目は統計学か経営学を選択しましょう。判断の基準としては大きく稼ぎたいなら経営学、安全に得点のぶれを抑えたいなら統計学がいいと思います。

 

私は経営学を選択しました。ほとんどの受験生が経営学を選択しますが、経営学は理論問題と計算問題が大問1つずつ出題されます。計算問題は金融系の問題で苦手とする人も多くいます。したがってこの計算問題がしっかりと解けると私の論文式試験の成績のように相当なアドバンテージを得ることができます。

 

一方、経営学のデメリットとしては理論問題があること、計算問題も平易な場合がありあまり稼げない可能性もあるということが挙げられます。したがって、得点のぶれを抑えたいという人は統計学を選択するとよいと思います。統計学はある程度自信がある人しか選択しないので大きくは稼げませんが、基礎を抑えていればコケることも少ないです。

 

強み③論文式企業法は意外と親和性が高い

会計士試験には企業法という主に会社法の試験があり、多くの理系の人間からすると初めて法律に触れることになります。私自身もやる前は勉強方法が分からず非常に不安でした。

 

ですが、論文式の企業法は意外にも理系の素養と相性が良いと考えています。性質としては数学に近い部分があり、いくつかの定理(法律の条文)を組み合わせて論理的に問題を解きます。

 

私も最初は勉強法が分からず成績はダメダメだったのですが、上述の点に気づいてからは成績も上がり、本試験でも良い成績を残すことができました。

好みもあると思いますが、人によっては論文式の企業法も稼ぎやすい科目だと考えています。

 

注意点①まずは短答式を確実に突破する

以上が理系として強みを発揮できる部分になりますが、実は理系の強みを発揮できるのは論文式試験で、短答式試験ではアドバンテージを得ることは難しいです。というのも近年の短答式の管理会計論は試験時間が極端に短く、全ての問題を解ききることはほとんど不可能です。したがって周りと差をつけられるような少し難しめの問題は触ることができません。財務会計論計算は配点も大きいので力を入れる必要がありますが、ここで受験生全員が稼ごうと対策するため理系だからという理由で稼ぐことは難しいです。

 

私もそうでしたが、人によっては計算科目が増える論文式のほうが短答式よりも楽だと感じる方もいると思います。なのでまずは短答式をしっかりと突破することを目標にして勉強をすると良いと考えています。

 

注意点②理論科目は気合で暗記する

理系の場合、理論科目が懸念点だとは思いますが、ここに関しては気合で愚直に暗記するしかありません。理論科目は短答式では結論、論文式では論証を暗記していくことが主になりますが、計算や理解だけで解ける問題でこれらの問題の失点をカバーすることはできないので、ここは辛いですが頑張って覚えましょう。

 

会計士業界では暗記よりも理解が大事といわれることが多いですが、最終的には暗記しないと点は取れないので近道はありません。

ただ、理系的な考え方をする人は、規則性や根幹となっている考え方から問の答えを導くというような思考方法を自然とするので、何かを覚える際にも自然と理解はしようと努めると思います。その意味では考えなしに暗記する人よりも、暗記でも理系的な考え方がアドバンテージになるといってもいいかもしれません。

 

予備校は大手ならどこでも良い

まだ学習を開始されていない方に向けて予備校の紹介をさせていただきます。

 

個人的な考えでは予備校はCPATAC大原の大手3校であればどこでも良いと思います。それ以外の小さめの予備校は私はあまりおすすめしません。

これは会計士試験は知っているか知らないかで得点できるかが決まってしまう問題が多いため、受験生の大多数が知っていることを抑えていくことが効率的かつ必須だからです。小さめの予備校だともしかしたら皆が知っていることを自分が知らないというリスクを抱えて勉強することになります。大手よりも小さめの予備校のほうが価格は安いことが多いですが、もし利用されるならそういったリスクがあることをご認識ください。

 

ちなみに私はCPAを選びました。大手の中でも通信(オンライン)に力を入れているような感じがあり、自宅で学習しようと思っていた私には合っている気がしたからです。とはいえ、どこの予備校も通学・通信ともに勉強できる環境は十分に整っています。

 

利用してみて初めて分かったことですが、CPAは他校よりも模試や答練の返却が早く、特に短答式のものは2日くらいで順位まで分かります。他校では2~3週間くらいかかっていたので、本試験直前期には非常にありがたかったです。

 

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具体的な学習スケジュール等

最後に私の9か月の勉強スケジュールや勉強法をまとめた記事をこちらで紹介します。

具体的なスケジュールや勉強内容が気になる方はご利用ください。

・短答式→【半年で公認会計士短答式合格】全体的な勉強スケジュールと成績一覧

・論文式→【3か月で公認会計士試験論文式合格】全体的な勉強スケジュールと成績一覧