東大卒無職が9か月で公認会計士試験を突破した記録

仕事を辞めて受験専念をした東大卒が6か月で公認会計士短答式、その後3か月で論文式に挑んだ記録です。

管理会計論のCVP分析の解き方を過去問で解説してみる

最後の更新から1か月空いてしまいました汗。合格発表待ちの期間は特にこれといってアップデートがないので更新が途絶えてしまいますね。

 

さて、今回は管理会計論のCVP分析について、例題とともにその解き方を解説してみたいと思います。ググっていたり、ツイッターでCVP分析の計算方法がよく分からない、特に複数製品が出てくる場合がダメということを目にするので、簡単な解き方を解説してみます。

 

必ず製品の販売個数を文字で置く

CVP分析の問題が苦手な人は、必ず製品の販売個数を文字で置いて計算することをおすすめします。どんなに問題が複雑でもそうしてください。別に売上高などの別の数値を文字で置いても良いのですが、個数が最も単純で分かりやすいと思います。

これをおすすめする理由ですが、どんな問題でも同じアプローチで機械的に解くことができることにあります。私は問題によって解き方(計算の出だし)を変えるというのは上級者がやることだと考えています。計算の出だしを変えることは、計算の簡略化、時間の節約が目的であるためです。つまり、計算に苦手意識がある人ほど、少なくとも計算の出だしは毎回同じようにやってしまうというのが最も手っ取り早く問題に着手することができる方法です。また、計算方法に悩む時間が減るので思いのほか時間も短縮できたりします。

計算問題が解けず、解説を見たら、加重平均売上が~とか加重平均貢献利益率が~とか書いてあり、そんなん知るかと思ったことはありませんか?計算が得意な人はこの解き方でも良いですが、計算が苦手だと思う人はこのようにわざわざ必要のない数値を持ち出すのはやめましょう。混乱するだけです。

私は管理会計論、計算問題は得意でしたが、必ず販売個数を文字で置く方法でCVP分析の問題は解いていました。複数の製品がある場合は、販売個数を文字で置いたら、後は連立方程式を解くだけです。というか、CVP分析に限らず、管理会計分野の問題はほとんど個数を文字で置いて、愚直に方程式を解いて計算していました。

 

例題

能書きはここまでにして、実際に問題を解いて説明していきます。令和 2 年第Ⅱ回短答式管理会計論の問題11でやってみます。

典型的な2つの製品がある場合のCVP分析の問題です。

問題に目を通したら、まずは、CPAの解説FINの解説を見てみて下さい。どちらも図、表、加重平均○○など使用されています。私はこのような解説を見ると、わざわざ図とか加重平均とか面倒くさいと思ってしまうので、先程の個数を文字で置く方法で解きます。

 

「安全余裕率=1-損益分岐点比率」なので、損益分岐点比率が80%となる販売量を求める必要があります。「損益分岐点比率=損益分岐点での売上高÷予定売上高」なので、まずは損益分岐点での売上高などを求めます。

損益分岐点におけるA、Bの販売個数をそれぞれa,bとすると、次の2つの式が立てられます。

①3,500a : 4,000b = 5 : 4

②2,000a + 2,500b = 73,500,000

①は問題文最後の売上高割合の指示から、②は貢献利益=固定費から考えます。これを解くと、a=19,600個、b=13,720個となります。

よって、損益分岐点での売上高は「19,600×3,500+13,720×4,000=123,480,000円」となります。冒頭の損益分岐点比率の式から、「80%=123,480,000÷予定売上高」なので、予定売上高は154,350,000円です。

 

ここでもう一度同じように式を立てます。今度は売上高の比率と予定売上高から式を立てます。予定でのA,Bの販売個数をそれぞれα,βとすると、

①3,500α : 4,000β = 5 : 4

②3,500α + 4,000β = 154,350,000

これを解くと、α=24,500個、β=17,150個となります。「予定営業利益=貢献利益ー固定費」なので、「2,000×24,500 + 2,500×17,150 - 73,500,000 = 18,375,000円」です。

 

販売個数をベースに解くとこのようになります。実際には加重平均を求めて解くことと同じことをやっているのですが、加重平均といった小難しい概念を持ち出さずに解けるので幾分かシンプルではないでしょうか。

シンプルな解法に徹することによって、わかりにくい問題でも手を動かせば解けることもあります(特に短答式では時間制約が厳しいので、難しいと思ったら捨てるのが吉ですが)。また、この解き方で計算できるようになったら、比の計算をうまく工夫したりするとより計算スピードが上がると思います。

CVP分析の問題でどう計算したらいいかわからないという方は、ぜひこのようなシンプルな解法を試してみてください。